「エネルギー理工学設計演習・実験2」別冊

4−7 真空ゴムホースとホース継手

1998.10.26

keywords: rubber hose


概要

 厳密に言えば、ゴムホースは管であり、継手はゴムホース用の直管ですが、ここではまとめて説明することにします。ゴムホースは曲げやすく、管径が少々異なっていても接続することができますので、中真空以下の領域でよく用いられていました。最近ではクランプ継手に替わられつつありますが、一部では未だ根強く残っています。

規格と材質

 ホースの材質や寸法に定まった規格はありません。市販されているホースの内外径と、差込み可能な管外径を下の表に示します。材質は天然ゴムです。シリコンゴムや樹脂系の真空ホースも市販されていますが、私は使用したことがないため、省略します。

内径(mm) 外形(mm) 適用管外径(mm) 適用RP(L/min)
4.5, 5 12, 15, 18 8−10 (アスピレータ)
6 12, 15, 18 10−12 5−10
7.5, 8 18, 21 12−15 5−20
9 21, 24, 27 17.3(10A) 10−50
12 20, 24, 30 18−21 10−50
15 36, 41 21.7(15A) 50−100
18 42 27.2(20A) 100−250
25 50, 55 34.0(25A) 300−400
32 60 42.7(32A) 400−500
38 75 48.6(40A) 500−600
50 100 60.5(50A) 800−900
 

 ホース継手の材質や寸法も規格はありません。水道ホースを接続する、いわゆるタケノコのような凝った形状(写真2参照)にするとより確実に取り付けることができますが、写真1のように僅かにテーパを付けた管でも構いませんし、特に管径が小さい場合にはただの直管でもホース継手になります。

接続方法

 管径が小さい場合や、継手が写真2のように段になっている場合、あるいはホース内径に較べて管径がかなり大きい場合などは、単に管にホースを差し込めむだけです。接続をより確実にしたいのであれば、写真3に示すように、ホースバンドで固定しておきます。

 差し込む前には、ホース内面か継手外面に真空グリスを薄く塗布します。小口径で低真空の場合には特に必要ありません。ゴミが溜まったりする原因になりますので、グリスは付けすぎないようにしましょう。内径が25mmのホースでも、小指でほんの軽くすくい取った量を伸ばして塗れば十分です。ただし、粘性が高いので何度も伸ばさなければなりません。

特徴

 外径が60mmより小さい管であればゴムホースを容易に接続することができ、適度な柔軟性があるために、油回転真空ポンプ(RP)やアスピレータで排気するような配管を簡単に構成することができます。

 クランプ継手と比較すると、安価であることが最大の特徴ですが、桁が違うほどではありません。その他、振動を吸収することや絶縁体であることも特徴です。真空ポンプの振動が大きかったり、何らかの理由で絶縁したい場合には適しています。

 欠点もいくつかあります。比較的口径の大きいゴムホースはかなり重く、曲がり難くなります。写真4のように無理に曲げると、流路が狭くなったり潰れたりしますので、注意が必要です。ゴムは石油などに侵されやすく、写真5のように大気中で劣化することもあります。また、ゴムからのガス放出量は金属に較べてかなり多いため、圧力の下限は 10mTorr が目安です。真空ゴムホースは、これらの欠点を承知した上で使用するべきで、その可撓性(柔軟性)や絶縁性等をうまく活かすようにしましょう。


このページは、高木郁二が担当している京都大学工学部物理工学科の講義・実験を補う資料として作成したものです。ご意見・お問い合わせはこちらまでお願いします。