「エネルギー理工学設計演習・実験2」別冊

4−8 管用ねじ

1998.11.12

keywords: pipe thread, JIS B0202, JIS B0203, ISO 228/1, ISO 7/1


 管用(くだよう)ねじは水道管などの接続に用いられるねじで、テープ状のシール材と併用すれば、低真空〜中真空領域の配管継手として利用することができます。米国規格のNPTとISO規格の管用ねじがありますが、後者について説明します。

規格

 ISO規格の管用ねじには、管用平行ねじ(JIS B0202, ISO 228/1) と管用テーパねじ(JIS B0203, ISO 7/1) があります。管用テーパねじの方が気密性が高く、低真空用の真空測定子の接続によく用いられていますが、管用平行ねじとOリングを併用してシールする小口径用継手も市販されていますので、両方の規格の一部を以下に示します。

   管用平行ねじと管用テーパねじの主な規格
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管用平 管用テー ねじ dまたは d1または
行ねじ パねじ  山数 D    D1
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G1/8  R1/8   28   9.728mm   8.566mm
G1/4   R1/4      19   13.157mm  11.445mm
G3/8  R3/8   19   16.662mm  14.950mm
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 ここに示した管用ねじ(GとR)は、1982年に改正されたJISで規定されています。それまでは、1966年のJIS規格(PTやPFなど)が使用されており、今でも「呼び」が残っています。古い機器や配管にPTなどという刻印が打ってあることもよくありますので、対照表を以下に示します。少なくとも 1/8, 1/4, 3/8 などの小口径管用ねじでは、前JIS(1966年JIS)と現JIS(1982年JIS)は全く同じで呼びが異なるだけです。

現JISと前JIS対照表
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ねじの種類   前JIS 現JIS
        での呼び での呼び
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管用平行おねじ  PF  G(AまたはBを付ける)
管用平行めねじ  PF  G
管用テーパおねじ PT  R
管用テーパめねじ PT  Rc
管用平行めねじ  S   Rp
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用途と特徴

 管用テーパねじは、一般的な真空フランジと比較すると気密性に劣るため、低真空〜中真空の領域にしか用いることができません。このため、ブルドン管、熱電対真空計、真空スイッチなどの測定子や、低真空配管系が主な使用箇所になります。

 一方、管用平行ねじは、あまり真空配管には用いられませんが、平行ねじをフランジに接続し、その間をOリングでシールするような構造の小口径継手が市販されています。

 測定子先端が管用テーパおねじである場合、受ける側にテーパめねじを切る必要がありますが、片方がテーパめねじである Swagelok などの市販継手を利用すれば、工作する手間が省けます(写真1参照)。テーパめねじが切ってあるティー(注1)などを利用してもよいでしょう。

接続方法

 ねじ部の接触だけで真空をシールすることはできません。写真2(b)(注2)に示すように、PTFE(注3)の薄いシールテープを予めおねじに2回程度巻き付け、めねじにねじ込みます。このとき、ねじの回転によってテープがゆるまないように、巻き付ける向きに注意しましょう。

 Oリングでシールするような構造の平行ねじの場合には、このテープはもちろん不要です。

(注1) 管用ねじは真空配管専用でないため、ティーなどの一般的な継手はガスや水道器具を扱っている小売店から入手することができる。 (注2) 写真2のティーやテーパおねじは水道用の部品である。 (注3) 商品名はテフロン等。巾10〜15mmで厚みが0.1mm程度のテープが市販されている。

以上


このページは、高木郁二が担当している京都大学工学部物理工学科の講義・実験を補う資料として作成したものです。ご意見・お問い合わせはこちらまでお願いします。