

研究内容
量子ビームを用いた原子衝突反応の基礎研究は,原子分子物理学,放射線物理学はもとより,最近では生命科学などの幅広い分野へと繋がる学問領域としても重要視されています.特に,高エネルギーイオンによる衝突反応過程は,超高速かつ原子レベルの局所的な空間スケールで進行するため,その素過程の全容解明には,高度な計測技術を駆使した系統的な研究が求められています.当研究グループでは,高度な計測・測定技術に基づいたユニークな実験装置や計測手法を考案し,衝突素過程の物理学的視点からの解明を目的とした,様々な分野への波及が期待される複数のテーマに対して研究を行っています.
最近の主な研究テーマの例は以下の通りです.

- 液体物質の照射誘起反応機構とその物理化学的性質の解明
- 核融合プラズマ内の原子挙動解析
- マイクロビーム発生および照射技術開発と学際融合分野への高度化利用
- 多重同時計測法を用いた多原子分子衝突反応ダイナミクスの解明
- 照射環境下その場観察法による材料の微視的物性変化の物理的解明
- クラスターイオンビームの新規な制御方法の開発と衝突素過程の解明
- イオンビームトラップを用いた新規マージング実験システムの開発
- 孤立ナノ粒子に対するイオンビーム分析技術の開発
- 高度なイオビーム分析手法の開発と新規デバイス・材料への適用

我々のグループでは,主要な実験装置は全て独自に開発します.新規な手法によって得らえる情報をもとに,研究を進めるというスタイルを取っています.自分の知りたい内容にあわせて実験装置を改良したり,ときには新たに装置を立ち上げます.加速器の取り扱いについてはもちろんのこと,真空装置や放射線検出器,測定回路,電気回路,光学機器,機械工作,測定・解析プログラム開発など,幅広い実験技術に習熟するチャンスに溢れています.
興味を持たれた方は,研究内容の詳細について,各教員にお尋ねください!見学も随時受け付けております.
実験施設
量子理工学教育研究センター (宇治キャンパス,放射実験室)に設置の3台の静電型イオン加速器を用いて研究を行っています.我々は,この加速器施設を用いている最大のグループです.各実験テーマ毎に設計・開発された専用チャンバー約9台を7本のビームラインに常設させてもらっています.マシンタイムも豊富に確保でき,イオン加速器を用いた研究・教育環境としては,世界的に見ても非常に恵まれた環境にあると言えます.実験では,加速器の運転やビーム通しも全て学生自身で行います.扱いが大変なように感じるかも知れませんが,教員・先輩と共に実験を行いながら習得できます.


