transXend検出器(電流モード検出器) 2010年5月3日更新 X線を従来通り電流として測定し,入射X線のエネルギー分布を与える X線の透過撮影において,一つ一つのX線のエネルギー測定を行うと,ヨウ素造影剤に敏感,ビームハードニング効果が効かないという利点があります.ビームハードニング効果とは,通常の大きさの人間とコニシキのような大きな人の中にある癌とは,見え方が違ってくる,コニシキの身体の中にある癌は発見しにくい,ということです.しかし,一つ一つのX線のエネルギーを測定するには,かなりの長時間が必要です.とても,人間のCT撮影にはエネルギー測定法は利用できません.そこで,現在のCT測定のように,X線を電流として測定しつつ,入射X線のエネルギー分布が分かる検出器,transXend検出器を考案しました. transXend検出器とは.. いくつかの検出器(要素検出器と呼ぶ)をX線の入射方向に並べ,それぞれの要素検出器から電流出力を測定する検出器です.入射したX線のエネルギーが低い場合には,図の検出器1番,2番で吸収されてしまいます.X線のエネルギーが高い場合には,1番や2番で吸収されることもありますが,5番や6番の検出器まで到達することもあります. 予め,各要素検出器が様々なエネルギーのX線に対してどのような応答をするかという応答関数を求めておくことで,解析により入射X線のエネルギー分布を求めることができます. ![]() 現在の研究状況 最初にCsI(Tl)というシンチレータを用いて,transXend検出器の原理検証を行いました.次に,Si(Li)半導体検出器を用いたtransXend検出器を製作し,解析法の改良を行いました.また,アクロラド社のCdTeフラットパネルセンサを用いて,擬似transXend検出器として動作させています.フラットパネルセンサを用いることで,一度に大面積の測定ができますので,CT測定が大変短時間で実現できます. 研究助成 平成18-19年度「医療診断応用を目指した電流測定型X線エネルギー検出器の開発」,萌芽研究(代表). 平成21年度 「健康診断で癌の早期発見を目指したX線エネルギー情報利用低被曝化CTの研究」, 鈴木謙三記念財団法人医科学応用研究財団(より豊かな生活に貢献する医療技術に関する研究)(代表). 論文,特許など ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 出願番号 2005-256867 「放射線検出器」,神野郁夫,尾鍋秀明,青木久敏.
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2008年1月月22-24日 | ||
高崎の原子力機構で,Co-60を使った実験.直径3cmの鉄ファントムに,アルミと真鍮が入っています.このCT測定を行いました. (上)左から山縣さん,大島さん(高崎研),三上君,橋本さん(大洗研),前列左 上坂君,わし.撮影は大高さん. (下左)電流モード検出器とファントム,(下右)かごの部分から出てくるガンマ線から電子機器を守るため,鉛ブロックを. | ||
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2007年11月月28,29日 | ||
大洗の原子力機構で,Cs-137を使った実験.直径3cmの鉄ファントムに,アルミと真鍮が入っています.このCT測定を行いました. | ||
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2007年10月31ー11月2日 | ||
電流モード検出器を用いた実験.原子力機構の大高さん,ラボラトリ・イクイップメンツ・コーポレーションの田辺姉妹が来てくれました.右下:電流モード検出器で撮ったCT画像.これからデータ処理してエネルギーCTとします. | ||
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