なぜp型Siか
ホウ素(B)が添加されたSiを液体ヘリウム温度以下に冷却すると,ホウ素が正孔を捕獲します.捕獲された正孔を解放するために必要なエネルギーは約2meVで,これは超伝導体においてクーパー対を励起して準粒子とするエネルギーとほぼ同じ値です.すなわち,低温にすれば,半導体検出器においても超伝導体検出器と同様のエネルギー分解能を持つ可能性があります.
現在の状況
この原理を用いてドイツのグループが検出器を開発しましたが,十分なエネルギー分解能は得られていません.われわれは,ドイツグループとは異なる方式を用い,p型Si高分解能検出器を開発しようと,その基礎研究をしています. この方法に関して,特許申請中です.
最初にこの研究をしたのは,今は東京電力へ行った江谷君.現在は,修士2回生の松永君と修士1回生の中山君が引き継いでいます.松永君のアイディアの成功供給法について,特許申請中.今,このアイディアを実際に実験で試しています.
松永君が,2003年3月に修士課程を修了し,跡継ぎがいない状況なので,いまは休業中です.
研究助成
本研究は,平成10年11年度文部省科学研究費補助金萌芽的研究,平成12年度財団法人村田財団研究助成,平成13年14年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)(2)一般の助成を頂戴しております.
論文,特許など
I.Kanno, F. Yoshihara, T. Etani, S. Kanazawa and
K. Shin, “Studies on Low Temperature Radiation
Detectors with Superconductor, Mono-semiconductor
and Compound Semiconductor”, Ionizing Radiation
(in Japanese), 26, 87-94 (2000).
出願番号 2002-342039 「半導体放射線検出器」,松永大輔,神野郁夫.
出願番号 2000-292967 「半導体放射線検出器」,神野郁夫.
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