理想とする研究室

わいわいやろうぜ

 イギリスのケンブリッジ大学に1年半にわたって滞在したときのこと.物質科学部のデバイス材料グループの研究室にお世話になりました.そこには,イギリス人はもちろんですが,世界各地から大学院生が研究に,客員研究員が仕事に,それぞれやってくるところでした.
 様々なスパッタ用真空チェンバ,クリーンルーム,反応性イオンエッチング装置,リソグラフィ,などなど,結構古い装置がしっかり動いていて,一年に何度か,ロータリーポンプがへたばる研究室です.院生も,研究者もそれぞれ議論しながら実験しています.
 毎日毎日,物を作っては試験する研究室.私が渡英前から抱いていた理想の研究室がここにありました.

 それから帰国して,もう5年以上経ちます.私の研究室も,少しずつ理想に近づいて来ている,と最近感じるようになりました.

 箇条書きにすると,以下のような点を嬉しく感じています.
先輩から後輩へ実験装置の扱い方の指導ができてきた.
研究の方向を示すだけで,その分野の面白さを自分で感じ取るようになってきた.
自分のアイディアを追及し,仲間に対して意見を求めるようになってきた.(しかも,特許を出せるようなアイディアだ)
他大学からの進学者が増え,それぞれの以前の専門を生かした研究ができる.またその知識を私を含めて他の人たちに伝える.

 すでに,成熟している研究室にとってはあたりまえのことでしょうが,私の研究室ではようやくこのようになってきました.

 私自身,最近はすべてのことを自分でやらなくても良い,人にやってもらえることはやってもらおう,と思えるようになり,だいぶ楽になりました.さらに,学生,院生が私の知識からはみ出すようなアイディアを出すようになり,学生たちの頭脳を使って考えている,ということが実感で来ます.

 うーん,こりゃ愉しいぜ!

 ただし,さらによくなって欲しいのは,
朝から仕事をすること
研究会などに,遅刻せずに来ること
実験室などの後片付け,整理整頓をすること
物を大切にすること

などなど.皆さん,自覚を持って,しっかりやってちょーだい.
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