フラーレンデバイス


フラーレンとは
 
 サッカーボールの中に,5角形と6角形との組み合わせでできているものがあります.これらの5角形,6角形の頂点に原子を並べた分子をフラーレンと呼びます.最近は特に,炭素原子が複雑に結合したフラーレンC60が注目されています.

研究の動機

 同じ研究グループとなった伊藤教授が,フラーレンに加速イオンを照射し,フラーレンの破壊の様式の研究をしています.また,例えばシリコン基板の中にゲルマニウムの微粒子を生成し,面白い電気特性が報告されています.そこで,われわれは,このフラーレンを含んだ素子を作り,電子デバイス,将来には放射線検出器に利用できないか,研究を始めました.アイディアとしては,シリコン中のゲルマニウム微粒子は,その粒径がそろっていないので,ゲルマニウム微粒子の代わりにC60を用いればより優れた特性が出るのではないか,ということです.
 2源蒸着装置が動き始め,金膜の上にC60を蒸着して抵抗測定を行っています.金のほか,銅などの貴金属を用い,C60の比抵抗値の変化の測定を行いました.
 この仕事をしているのは,博士後期課程3回生の野内君.2番目の論文が掲載されることとなりました.また,3番目の論文を投稿中です.野内君は,2004年11月末現在,博士論文の草稿をまとめているところです.

研究助成
 平成15-16年度,日本学術振興会科学研究費補助金萌芽研究を頂戴しています.

論文,特許など

R. Nouchi and I. Kanno, "Friction of C60 Molecules at Noble Metal Surfaces Detected by Change in DC Resistivity", Jpn. J. Appl. Phys., in print.

R. Nouchi and I. Kanno, "Resistance Measurements of Conducting C60 Monolayers Formed on Au and Cu Films", J. Appl. Phys., 94, 3212-3215 (2003).
 


2003年4月21日ー26日
米国サンフランシスコで,野内君がポスター発表.会場で一番大きなポスターでした.
でも,やはりサンフランシスコといえばケーブルカー.
写真いろいろ
蒸着膜の抵抗その場測定 クリーン?ルームの拡張工事




野内君が,金の蒸着膜の抵抗をその場測定しているところ,膜厚と電流の測定は,GP-IBを介して測定しています.
超伝導体素子製作用の新しい真空槽が来るので,フラーレンデバイス製作用の真空槽もいっしょに入れるクリーンルームの拡張工事の風景です.



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