高エネルギー分解能について



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量子システム工学


エネルギー分解能

 放射線計測において「エネルギー分解能」とは,放射線検出器でX線などの一定のエネルギー値を持つ放射線を測定するときに,どれほどまでエネルギー値が近い二つの異なる放射線を別の物として観測できるか,ということを意味しています.下の図では,ホウ素(B),炭素(C),窒素(N)および酸素(O)から一定のエネルギーを持つ特性X線が放出されている場合の測定結果を表しています.(数値はいい加減ですから,他で使ってはいけません.)Bからは180eV,Cからは280eV,Nからは380eVそしてOからは550eVのエネルギーを持つX線がそれぞれ放出されています.左上の図は,このような特性X線を典型的なシリコン検出器で測定した場合の結果を表しています.なお,電気回路の雑音も典型的な値である100eVとしています.B,C,N,Oの元素がそれぞれ等しい量であるときには,測定結果は青い線で示されるようになります.この青い線だけから,なにかしらピークが4つある,ということが分かります.しかし,右上図のように,もしNが他の元素の10倍の量がある場合には,測定結果からは,ピーク,すなわち異なるエネルギーのX線が2種類あるいは3種類ある,としか結論できないでしょう.
 そこで,このような状況の測定をエネルギー分解能が2倍良い検出器で行ってみます(左下図).その結果,明らかに4種類のX線が存在することが分かります.さらにエネルギー分解能がよい検出器で測定すると(右下図),たとえばこれら4つのX線の他に,別のX線が同時に存在する場合でも,容易にそのエネルギー識別ができるようになります.
 このように,測定精度にたいする要求が厳しくなるに従って,より高いエネルギー分解能を持つ放射線検出器の開発が求められています.

 


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