X線技術の医療応用 エネルギー情報X線CT 放射線検出器開発 教授 神野 郁夫
X線CTは癌などの病巣を発見する有効な方法ですが,X線の被曝量が大きいことが問題です.この被曝量を低減したX線診断を目指して,高機能放射線検出器開発と新規X線測定法の両面から研究を行っています.
高機能放射線検出器研究では,化合物半導体InSbの結晶育成を行い,これを用いて放射線検出器の開発を行っています.InSbを利用した放射線検出器開発は,世界で当研究室だけが行っています.
新規X線測定法としては,ヨウ素造影剤観測のためのエネルギー差分法の研究を行っています.これは,従来は利用されていないX線のエネルギー情報を利用したヨウ素の観測法です.また,X線を電流として測定しX線エネルギー分布を得る,transXend検出器を開発し,実証中です.
InSb検出器とtransXend検出器は,医療分野,産業分野に幅広く応用できる検出器です.これらの他にも,様々な種類の放射線検出器の開発・応用法の研究を行っています.放射線検出器は,放射線・原子力技術の利用に欠くことのできない装置です.当研究室は,原子核工学専攻の根底を支えているとも言えます.
中性子光学 准教授 田崎 誠司
中性子の示す波動性を利用して、
1)実験に使う中性子を効率よく導き・選別できるデバイスの設計・開発
2)物質に衝突させた際の中性子のわずかな速度変化から物質内部での大きな構造、ごくわずかな組成変化や動きを測る装置の開発
をおこなっています.
中性子断面積 助教 安部 豊
中性子やX線の散乱・輸送・透過現象を利用して、物質の構造やダイナミクスを研究しています。 具体的には、基礎科学の観点から、
1)
超流動液体ヘリウムによる超冷中性子の高輝度生成、
2) 分子動力学による分子・原子の動力学的解析
3)
各種の中性子冷減速材の断面積データの開発・評価
産業応用の観点から、
4) X線CT用高空間分解能画像再構成アルゴリズムの開発
5)
X線CTにおける各種アーチファクト低減方法の開発
などの研究を進めています.