量子理論

 量子的に絡み合った状態を用いることにより情報を別の系へ転送する量子テレポーテーションと呼ばれるプロトコルが知られています。これまで光の偏光状態や直交位相成分に情報を載せる試みが行われていますが、現在当グループでは光子数と位相をパラメータとする系を用いて研究を行っています。
 また、量子力学では物理量の測定(観測)がその対象の系の状態に影響を与えます。頻繁な観測によって量子系の時間発展を抑制・制御する量子ゼノ効果について、現在理論的な研究を進めています。

素粒子物理・初期宇宙
 我々の宇宙は物質からできていて、反物質からはできていません。 宇宙初期にインフレーションが起こったと考えると、 インフレーション後にバリオンの非対称の生成(バリオジェネシス)が 行われていなくては我々の宇宙を説明できません。 そのバリオジェネシスの問題は解決されておらず 素粒子物理、宇宙物理に大きな問題となっています。 このバリオジェネシスを超対称電弱模型の立場から 解決法の検討を行っています。
ダークマターアクシオンの探索

 宇宙には目に見えない、いわゆる暗黒物質が存在すると考えられています。この暗黒物質の候補としてニュートリノやアクシオンなどが考えられていますが、これらの粒子の相互作用は非常に小さいので、検出するためにいろいろな方法が提案されています。
 その有力な方法の一つとして、最近注目されている空洞内での量子電気力学の理論と応用が考えられます。たとえば、強磁場をかけた空洞内でアクシオンから光子への転換が共振的に起きます。この転換光子をリドベルグ原子で検出すれば、雑音が非常に小さくおさえられ、アクシオンの大変有効な探索法を与えてくれます。このような量子工学的方法の理論的評価を行っています。

最近の研究発表

最近の論文、解説、研究会発表などを紹介します。

量子理論
●第6回量子情報技術研究会(QIT6)2002.05.27-28, 京都大学
光子数−位相測定を用いたスクィーズド状態のスワッピングによる最大絡み合い
(北川晃、山本克治) ・予稿発表
●第7回量子情報技術研究会(QIT7)2002.11.11-12, 学習院大学
(1) 線形光学的操作による光子数和−位相差の条件付きベル測定
(山本克治、北川晃) ・予稿発表
(2) 量子テレポーテーションにおける光子数−位相状態の操作
(北川晃、山本克治) ・予稿発表
●Maximal entanglement of squeezed vacuum states via swapping with number-phase measurement (A. Kitagawa and K. Yamamoto)
Phys. Rev. A 66, 052312 (2002) ( quant-ph/0202154)

素粒子物理・初期宇宙
●Leptogenesis via multiscalar coherent evolution with supersymmetric neutrino see-saw (M. Senami and K. Yamamoto)
hep-ph/02100732002年9月物理学会発表

ダークマターアクシオンの探索
●量子理工学研究実験センター(QSEC)セミナー 2002.10.21:
リュードベリ原子を用いた共振空洞での単一光子検出と ダークマターアクシオン探索への応用 (山本克治 - CARRACK collaboration)
発表写真 ( QSECホームページより)

オリジナル用語集

研究室メンバーによって生み出された、新粒子、新現象などを紹介します。

Flaton
(フラットン)
 超対称性を持つ場の量子論では、スカラー場のポテンシャルが特定の マニフォールド上で非常に平坦になることがよくある。 そして、この平坦なマニフォルード上でスカラー場がその質量より ずっと大きな値をとる。このようなスカラー場がフラットン(平坦子)と よばれている。
出典:
K. Yamamoto, Phys. Lett. 161B, 289 (1985).

Thermal Inflation
(熱的インフレーション)
 上記のフラットンによってもたらされる宇宙初期における特徴的 現象として熱的インフレーションがある。 すなわち、フラットンのポテンシャルが非常に平坦であるため、 フラットンに付随した相転移がかなり遅れて起こり、 相転移後の潜熱解放によって大量のエントロピーが放出されるという現象が、 Yamamoto によって見いだされた。 その後、この現象が Lyth と Stewart によって、thermal inflation と 名付けられ、過剰に生成し過ぎた素粒子がある場合は、 それを希釈するのに有効であるなど、このエントロピー生成が その後の宇宙進化に及ぼす影響について様々に議論されている。
出典:
K. Yamamoto, Phys. Lett. 161B, 289 (1985).
D. H. Lyth and E. D. Stewart, Phys. Rev. D 53, 1784 (1996).

 

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