京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻
核材料工学研究室


被覆管酸化膜中の水素拡散
 最初に説明したように、水素は被覆管表面の酸化膜中をゆっくり移動してから吸収されます。移動のしやすさを予測するには酸化膜中の水素の拡散係数を知る必要がありますが、値がとても小さいので通常の方法では求めることができません。例えば拡散係数が1018m2/sのとき、100 mの厚さを拡散する時間(L2/6D;Lは距離でDは拡散係数)を透過法で測定すると、50年もかかってしまいます。小さい拡散係数を測定するには対象とする領域を小さくしなければなりません。

私たちの研究室では、ミクロン領域を定量的に測定するイオンビーム分析とプラズマ照射を組み合わせた方法を開発して、1018m2/sという小さな拡散係数でも数時間で測定できるようになりました。現在は様々な条件で作成した酸化膜中の拡散係数を測定し、水素吸収を抑制する方法を研究しています。




酸化膜中の重水素深さ方向分布(●印)を計算によって再現し(実線)、拡散係数を求めます)

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