京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻
核材料工学研究室


燃料被覆管
 一般的な原子炉(軽水炉)では、酸化ウランやウランが核分裂して生成する放射性同位元素を閉じ込めておくため、細くて長い管(燃料被覆管)にウラン燃料を閉じ込めます。管の外側は高圧の水で内側は高温の燃料、周囲には多数の中性子が飛び交っています。被覆管は数年に及ぶ長い間、このような過酷な環境に置かれますので、丈夫(耐食性がよく高融点)であることが必要です。

 被覆管には、中性子を吸収しにくいことも要求されます。中性子を吸収しやすい材料を使うと、ウランを今以上に濃縮しなければならないからです。これらの条件を満たす金属元素はジルコニウムしかありません。被覆管にはジルコニウムにスズや鉄、クロム、ニッケルなどを僅かに添加したジルカロイという合金が広く使われています。




純金属と中性子の吸収しやすさとの関係;右下にある金属ほど被覆管に適している


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