京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻
核材料工学研究室
研究内容の紹介

当研究室では主に図のような、大きく4つのテーマについて研究しています。各研究内容の項目からより詳細な説明にジャンプできます。

核融合炉材料の研究
核融合炉の実現には、長時間、高性能のプラズマを維持することが必要です。核融合ではプラズマを磁場で閉じ込めますが、プラズマの一部が容器の壁(プラズマ対向壁)と接触することは避けられません。質の高いプラズマを長時間閉じ込めるためには、プラズマ-壁相互作用を理解し、コントロールすることが重要です。
 また、燃料粒子であるトリチウムは壁表面で反射したり、内部に侵入・拡散したり、吸着したり、表面で再結合して分子になったり、とさまざまな反応を起こします。私たちの研究室では、プラズマに曝した金属壁材料中の重水素を加速器を利用して定量分析し、壁に溜まるトリチウムの量(トリチウムインベントリ)を予測するための研究を行っています。

原子炉材料の研究
燃料被覆管の主成分はジルコニウムという元素です。丈夫で中性子を吸収しにくいという優れた特徴がありますが、水素を多量に吸蔵してしまうと脆くなるという欠点があります。被覆管の外側は水ですから、被覆管の表面が酸化すると水素が発生します。私たちの研究室では、水素の吸蔵や移動を実験的に調べ、被覆管の水素化を抑制する方法を研究しています。

原発事故廃棄物処理処分-核燃料デブリ化学
福島事故の復旧のためには、サイト内に大量に存在する放射性物質により高濃度に汚染された固体汚染物や液体汚染物を処理することが課題です。特に、燃料であるウランと被覆管や炉内構造物が冷えて固まった燃料デブリの処分は重要な課題です。私たちの研究室では、模擬燃料デブリを作成し、その組成や含まれる放射性核種の溶出率などを調べ、性状把握を進めています。

バックエンド工学-アクチノイド元素科学と熱力学
これまで或いは今後発生する放射性廃棄物は、深い地層に埋設処分することが想定されています。地層処分では、オーバーパックや緩衝材といった「人工バリア」と安定な岩盤などの「天然バリア」を組み合わせた「多重バリア」によって放射性核種を閉じ込めますが、長期に亘る地層処分の安全評価では、地下水に微量に溶けだした放射性核種の多重バリア中の移行挙動を把握する必要があります。私たちの研究室では、放射性核種が移行する際に起こり得る溶解沈殿やコロイド生成、収着分配などの反応を想定し、実験的知見に基づき放射性核種の移行挙動を予測することを目指しています。
 特に、放射性廃棄物や燃料デブリに含まれるウランやプルトニウム、アメリシウムなどはアクチノイド元素と呼ばれます。処分環境における移行挙動や燃料デブリの性状を把握するためには、アクチノイド元素の物理化学的な性質を明らかにすることが重要です。私たちの研究室では、アクチノイド元素を用いて、高温酸化物物性や溶解沈殿反応、錯生成反応など基礎的な実験研究を行っています。

下の図は当研究室で行っている研究に関するキーワードです。





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